Portfolio | 川井大樹建築設計事務所
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  愛知県豊田市の小さなプライベート美容室の計画。   ゆったりくつろげる空間、施術しやすい動線、ローコストであることが求められた。   最小限の建築面積でありながらゆったりくつろげる空間とするため、スタイリングチェアから光庭を臨む計画とした。施術時には木々を眺め、時には蝶々や鳥などとの出会いもある。四季や時間の移ろいを感じながらゆったりと過ごすことができる空間を目指した。また、光庭に簡易的な仕切りを用意すれば、外遊びができるキッズスペースとしても活用される。   また、光庭に面した外壁を半透明とすることで、うっすらと町(もしくは美容室)の風景を透過し、互いの気配を感じることが可能な「町とのつながりのある壁」とした。夜には光溜まりとなることで美容室の顔となることを期待する。...

ディレクション:村上心+村上研究室 意匠設計:藤川原設計+川井大樹建築設計事務所+安田将之 ランドスケープ:小塙芳秀 構造環境;ARUP ファシリテーター:名畑恵 環境設備アドバイザー:一ノ瀬雅之 自然環境アドバイザー:橋本啓史  ...

  大きな壁のある住宅 和歌山市に建つ築32年のマンションの一室をリノベーションした、母と子供2人(計3人家族)のための住宅です。   街との繋がり 計画マンションはJR和歌山駅や和歌山城からほど近く、かつては武家城下町として栄え、近代では産業の街(木場)へと変化しながら和歌山市の歴史を支えてきた地域に位置しています。 計画する一室は角部屋のため北東南の三面が街に対して開かれており、歴史ある和歌山市の街並みに囲まれていました。また計画する一室は高層に位置するため、遠くは和歌山湾や紀ノ川・和歌川など豊かな水系や、紀伊半島の山々など雄大な自然に囲まれており、自然と歴史を感じる解放的な一室で、潜在的な地域との繋がりを強く持っていました。     家族のカタチ 公営住宅標準設計51C型に始まり、マンションにおいて規格化された「nLDK型」は、1部屋に1開口が標準的で、周辺環境との繋がりはぶつ切りにされ、希薄になってしまう傾向があります。しかし、計画地を見た際に「豊かな眺望と潜在的な地域への繋がりが最大限に感じられる住宅であって欲しい」と強く感じました。 また、戦後日本の生活の質を向上させた「食寝分離」および「就寝分離」は、nLDKの「型」が強固になり過ぎたことによって機能的分離が過剰となり、結果、家族の隔たりを強くしてしまったのではないでしょうか。 よって今回の計画は、間取りの「形」を探るのではなく、家族の「カタチ」に自由度あたえた計画とすることで、様々な生活のシーンが重なり合いながら、家族が自然と共に過ごすことができる「おおらかな広場」のような空間をもった住宅としました。   繋がる広場 「個室は仕切らず最小限とし、LDKを広くしたい」とのご要望と、「ローコストな計画」であることが求められたことから、室を東西で二分割するような境界壁を1枚だけ建てる計画としました。 境界壁を境にして、閉じた面となる隣戸側は個室となる「プライベートスペース」を、開放的な三面開口側は家族のための広場となる「コモンスペース」に分かれます。プライベートスペースは就寝と収納など「静」の機能に限定することで最小限化し、様々な生活を行う「動」の機能をコモンスペースに重ね合わせることで広場の面積を最大限に確保しています。   家族と共に成長する住宅 プライベートスペースは家族の成長に合わせ、将来的な変更が可能な計画としています。   Phase 1:乳児期・幼児期  家族3人が共に寝る時期  プライベートスペースは大きな一室で、コモンスペースと合わせて走り回ることが出来る空間 Phase 2:児童期  一人寝ができるようになり間仕切りを増設  個室となるが、間仕切りの開口を通して家族の気配が感じられる空間  開口は光・風を運び、猫の通り道にもなる Phase 3:思春期・青年期  思春期を迎え、個室の出入り口と間仕切りの開口に建具を増設 Phase 4:独立後  子供達が巣立ち、個室の間仕切りを撤去  趣味などを自由に楽しむことができる空間   猫のいる暮らし 衛生および臭気の面から、玄関およびダイニングキッチンは猫が立ち入れないエリアとして独立させ、猫のトイレや食事は洗面所に集約しています。ダイニングキッチン以外を自由に歩き回れる立体的な猫動線は、室全体の空気の循環と、光を届ける役割も担う一方、子供達のコミュニケーションの場にもなっています。      ...

  show window の ドラマツルギー   工房を併設した店舗の改装計画である。敷地の名古屋市丸の内は高層ビルが立ち並ぶオフィス街で、店舗はその一角、20階建ビルの地下1階にある。HERZ(ヘルツ)は1973年創業のハンドメイド革鞄の店で、全国に6店舗を展開する。名古屋店は2016年にオープンし、3年が経った2019年にshow window改装計画として本計画が立ち上がった。   我々が普段手にするモノは出来上がった製品で、裏舞台である製作の過程はまず見ることができない。HERZは、店舗に併設された工房で革の裁断から成型に至る製作の全工程を受注で行っている。そのため、モノづくりの雰囲気や作り手の想いを肌で感じることが可能だ。さらに接客・アフターメンテナンスも職人が行うことで、作り手と買い手が直接顔を合わせ、共に想いを育むことのできる稀な店舗である。   実際私が店舗を訪れた際にも、HERZがもつ潜在的な魅力に心を動かされた。製品だけでなく、手にする道具や材料である革そのものも魅力的であったし、職人の表情や美しい所作は演劇のようにも感じられ、目を奪われたことを鮮明に覚えている。そのため今回の改装においては、HERZのもつ魅力そのものが立ち現われる show window を目指した。     具体的には、HERZの魅力である「製品・職人・道具」の3要素に対応するよう、「腰壁・垂れ壁・自立壁」の3種の壁を新設している。「腰壁」は製品を展示、「自立壁」は道具を展示する壁であり、同時に不足していた収納量を確保している。「垂れ壁」は強い西日を抑制しつつ、製作する職人が演じる舞台と成るための幕である。新たに挿入された3種の壁によって分節した空間には、それぞれ機能を与え、製作工程に沿って緩やかに連続させた。3種の壁が作り出すレイヤによってできた小さな奥行きに、モノとコトが同時に立ち現れる。   また、店舗はピロティを介した地下に位置するため、show windowの奥行きは、見る人の位置や高低差のあるシークエンスの中で見え隠れしながら変化する。見下ろす視点の歩道からは製作する手元の所作が垣間見えるが、階段を降りていくと、腰壁で手元が次第に隠されていく。店舗へ近づくにつれ意識は製品や道具へと移り変わり、革や職人の表情まで鮮明に感じられるようになる。「コト」から「モノ」へのフォーカスの変化が人々の興味を惹きつけ、自然と店舗へと足を運んでくれることを期待した。   show windowによって「製作という裏舞台」であった工房が、都市へ開かれることで、店舗の内と外で互いの振る舞いが作用し、都市の片隅で繰り広げられる日常としての演劇を新たに生み出す。小さな奥行きを持った...